日本銀行殺人事件

File.1「量的緩和殺人事件」

密室の金融政策決定会合で殺された量的緩和。容疑者は六人の政策審議委員と二人の副総裁と一人の総裁。犯行時刻は二日間。
そして現れる財務省の課長補佐古畑"bewaad"三四郎

  • 「どう考えても量的緩和を殺せるわけがないんです」
  • 「ちょっと。君」「向島です」「この辺にKinko'sないかなあ」「Kinko'sですか」「そう。資料を印刷したいんだけど、印刷機が故障しているんだよ」「変ですねえ。一昨日までは動いていたのに」
  • 「すいません。ちょっと答弁を作りたいんですが、パソコンをお借り出来ますか」「どうぞ」「あ、そういえばご存知ですか。殺された量的緩和は全然異常じゃなかったそうです」「あれは異常だったよ」「そうじゃないんです。アメリカのそうバーナンキ先生の鑑定があるんです」
  • 「すいません。ちょっと法案を起草したいんですが、日銀法をお借り出来ますか」
  • 「実は一人だけ欠席した委員がいるんです」
  • 「犯人はあなたとしか考えられない」

File.2「インフレターゲット殺人事件」

File.3「十号館の殺人」

群馬県にある陸の孤島に存在する十角大学にある奇妙な形の建物「十号館」に集まった経済学者達(お互いに過去の経済学者の名前で呼び合う)が次々に殺されていく。

[ネタばれ]感想*1

綾辻湛山著『十号館の殺人』を読んだ。いわゆる『新本格経済小説』の先駆けとなった作品だが、僕は恥ずかしながらつい先日まで未読だった。というのも、『本格経済小説』なんて、経済学者同士が現実にはあり得ないような政策を繰り出してただひたすら議論し合うだけの、古臭い経済小説だと思っていたからだ。
ところが、この『十号館の殺人』を読んで考えがガラリと変わった。この作品が発表されたのはもう二十年ほども前なのだが、そこに描かれた経済学者たちの生き様、死に様は古臭いどころかとても人間臭い。

*注意! 以下の文章は『十号館の殺人』のネタバレを含みます。

物語は、とある経済学研究会の会員達が群馬にある、奇妙な形の建物通称『十号館』へ向かうところから始まる。かつては『十角大学』という大学の校舎だったのだが、その学生達が皆殺しにされ、犯人は不明のままといういわくつきの建物だ。彼らは研究会の活動の一環として、十号館に泊り込みで見学に行く事になったのだ。ちなみ彼らはお互いのことを『アダム・スミス』とか『ケインズ』とか、経済学者にちなんだニックネームで呼ぶ。
作品の冒頭で、登場人物の一人『アダム・スミス』が友人を相手に『新本格経済小説』とでも言うべき演説をぶつ。少し長いがここに引用してみよう。
以下略

あずまんが殺人事件」

経済学者達はいずれも一太刀にて葬られている
「犯人は私!」
「おまえ犯人か!?」
*2

*1:http://d.hatena.ne.jp/roof/20060221にインスパイ(以下略)

*2:ついでにはてなわんわんワールド殺人事件とメモっておこう