経済学(正確に言うとファイナンス)を勉強すればするほどお金がいらなくなる矛盾 - 節電対応中について
出来る限り速やかに補足説明を書きたいんですが、もうここは閉鎖されているはずの区画だったので、二、三週間時間を取れません。とりあえず最低限だけ。
前提
許可が取れたので書きますと、あのエントリーは就職活動中の方とのお話*1の中で生まれました。入社式から葬式というのはそういうことです。したがって、キャッシュフローはある程度調節*2できます。また、キャッシュフローの増減リスクもある程度調節できます。さらに、男性サラリーマンということも前提です。自営業であればryozo18さんが書かれたように出来るだけお金を稼ぐべきでしょう。女性の場合は話が複雑になるので考察しませんが、一人で生き抜くにはおそらく平均年収以上が必要になるかと思われます。
あと、ちょっと探すのが面倒なのでアドレスは貼りませんが趣味のWebデザインの記事にも影響されています。
要約
ようするに、生涯(に必要な)総コストとリスクの分だけキャッシュストックが必要、それだけのキャッシュストックをためるのに必要なキャッシュフローはそんなに大きくない(年収三百万とは言いませんが、平均年収で十二分*3)という話です。
とりあえず、漏れがあることを前提に上の議論の問題点をあげてみます。
- 人生における全てのリスクをもれなく発見し、その確率と被害予想額を計算するのはほとんどの人間には無理
- とは言っても十分一般人に予見可能なリスクを想定できないのはさすがに馬鹿呼ばわりされても仕方ないでしょう
- 予見可能なリスクの確率と被害予想額の積の総和を概算できれば十分です
- 全ての人間が合理的に行動し、所得を減らすと合成の誤謬が発生
- やっぱりお金はいるんです
- でも、そういうことをいうのは失業者が十分に減ってから言いましょう
- 人手がたりなくて、おろそかになっている業務のために人を雇ったり、残業代相当で人を雇ったりとか
- 誰も突っ込まなかったのは想定外
- 本当にお金がいらないのか?いくらは必要なのかを計算していない
- 面倒
結局、経済学をある程度知ってないともれなく誤解する内容というのが自分でもとほほ。
参考
http://d.hatena.ne.jp/ryozo18/20061026
書きかけのエントリーをアップしてすみません。指摘された分のフォローはhttp://d.hatena.ne.jp/fhvbwx/20061027#c1161980377にあります。
(最低限の)レスポンス
idiot817 現在相続税はかなりの金持ちじゃないとかからない、と明記した方がよくある誤解を広めなくてさらによいのでは
- とりあえず、将来のリスクを前提にしているので現在の税制は参考程度にすべきと考えます
- どう考えても合理的には相続税の課税最低限は将来的には(インフレを無視すれば)下がるはずなので、現在よりも少額を想定すべきかと
- 相続税の課税最小限が最小6000万円であることと現在の課税状況に含まれる夫婦によるダブルカウントを考えると相続税はかなりの金持ちじゃないとかからないのは誤解と思われます
さらにレスポンス
idiot817 なるほど。住宅持たない前提で相続税の話が出てくるので、住宅なしで財産がほぼ預金で相続税がかかる場面を想像する人がいるかと思って。
http://www.nri.co.jp/news/2006/060905_1.htmlを見ると金融資産*4が5000万円以上の世帯は一割弱存在しているので、金融資産だけに限定してもかなりの金持ちというほどレアということはないと思います。それと借家を前提にすると家賃分の蓄えは必要になりますし。問題は相続時点での残貯蓄額の推定ですが、ちょっとそこまでは調べ切れません。まあ、かなりをどういう意味に取るかによって変わってくる話ですが。
付け加えておけば、お金がいらないと言う話は平均年収以上を稼げる能力を持つサラリーマン向けの話なのでそのレベルだと相続税は無視できないかと思われます。
j0hnさん
j0hn money ??? 唐突に相続税が出てくるけど、どういう計算になってるんだろ??
期待効用は金額に対して単調増加であり、使用用途には依存しない、あるいは教育費や自分の生活費に使った方が子供に遺産を残すよりも期待効用が大きいとすれば相続税がかかるならば遺産を残さない方が期待効用が大きくなるという計算です。子供に遺産を残したい人は(すごくレアケース、というか子供のためにならないので別の形*5で残した方が良いですよ)相続税と天秤に掛けてください。累進がきついので、青天井ということはないはずです。当然ですが、日常礼拝をしている物や法定相続人一人あたり500万円までの死亡保険金は相続税がかかりませんので、単純に期待効用関数で考えてください。
なお、期待効用関数の説明はしません。
忘れてたこと
リスク選好と期待効用関数の個人差
究極的にはリスク選好と期待効用関数を操作可能な変数と見て適当なことを書いたら本当に変化するのかなあというのも興味のあるところです。
合理的なリスク選好と期待効用関数の範囲内であればその程度の個人差は結果にはたいして影響してきませんし、無視できるかと。まあ非合理的な選択をする人が問題なんですが、そういう人がいないと合理的選択のインセンティブがなくなるのでまあ仕方ないかなと。
愚痴
その一
結局、日本の消費動向がこんなにゆがんでいるのは不動産市場のせいなんですよ。*6
高い住宅のために金を貯めちゃうから、民間の貯蓄が増えすぎて(バランスを取るために)政府の債務が増える。みんな持ち家だから借家市場が不完全。お金はいらないとまでは言いませんから、持ち家は要らないぐらいには同意していただけませんでしょうか?
><
人間五十年
みなさん定年後も元気なつもりでいるようですが、その自信はどっから出てくるんですか?日頃から健康に留意してますか?過労は大丈夫ですか?夫婦仲は大丈夫ですか?
一番大きなリスクは貯めた金を使えずじまいになってしまうリスクだとfhvbwxは考えます。もちろん、必要充分な貯蓄をした場合ですが。そういう意味で年金は重要です。ちゃんと掛け金を払いましょう。あと、年金では足りないと考える人は足りない分がコストなのかリスクなのかをちゃんと考えましょう。それによって貯蓄の形を変える必要があります。